98年のゴールデンウイーク。長野を旅していた私は、とある山の中の国道の旧道を走っていた。
そこは新道がトンネルで貫いている山を大きく迂回している道で新道が開通した今、通る車はほとんど無いように思われた。
誰もいない静かな場所で昼ご飯を食べようと思ったのだ。車を止めてご飯を食べていると、遠くで「ギャー ギャー」
と獣が鳴いているのが聞こえた。食事を終えて車を少し走らせると道路一面に猿がいるのが見えた。
猿達は車を恐がっていないようだった。食べ残しの柿ピーを撒きながら、減速してゆっくり通過していくと、猿たちはおとなしく
道路に落ちた柿ピーを拾って食べている。ふとドアミラーを見ると後ろからからゆっくりと、しかし堂々した足取りで一匹の猿が
こちらに向かってくるのが見えた。彼は他の猿と違い落ちている柿ピーには見向きもしない。どうもこの車を狙っているようだ。
危険を感じた私は運転席側の窓を閉めたのだが、なんと、閉まっていく窓に向けてさっきの猿が飛びついてきた。
あまりの出来事に呆然とする私。猿と30cmくらいの距離で見つめあうこと数秒・・・挟み込み防止機能などないシルビアの
パワーウインドウは無事にしまり、猿は車への進入を諦めた。しかし、数ヶ月後。三重県内でパワーウインドウが故障してしまい、
帰りの高速道路の料金所では大変面倒な思いをすることになった。(窓が開かなくなった)結局、保証期間が過ぎていたため修理代3万円を
払うはめになってしまったのであった。