2002年11月。南会津の国道352号線を伊南町から桧枝岐村に向けて
車を走らせていた。時刻は夜の11時過ぎ。行き交う車もなく、降りしきる雨は
いつのまにか雪に変わっていた。高畑スキー場を過ぎたころ、突然ヘッドライトに何か
ふさふさした毛の獣が照らし出された。それは車と同じ方向に走っていた。
獣を避けようと少しきつめのブレーキをかけると、獣は視界から消えた。
「何とか避けれたようだ」と安堵した瞬間。左の前輪あたりから「ボグン」という衝撃・・・
確かな手ごたえ・・・とうとうやってしまったようだ。相手は狸だったのだろうか?
少し走って車を止め、車の床下を点検する。降りしきる雨のためか毛皮などの痕跡はない。
翌日。明るくなってから「現場」を通りかかった。時速25km程で最徐行したが、やはり獣を轢いた
痕跡はなかった。間違えなく「手ごたえ」はあったのだが、どこかへ跳ね飛ばしてしまったのだ。