その1
ある夜。友人宅にでかけて帰りの遅くなった私は普段通ることのない寂しい雑木林の中の一本道を走っていた。
道はクネクネと曲がりくねっていて、ハンドルを切るたび、森の木々が浮かび上がっては消えていく
そんな道であった。いくつかのカーブを曲がった後、対向車と出会った。
狭い道の左側目いっぱい車を寄せなんとか対向車をやり過ごし、最初のカーブを曲がると
狭い道の端に白いワンピースを着た女の子が両手で顔を覆ってしゃがみこんでいるのが見えた。
時刻は午前1時を回っている。こんな夜更けにこんな寂しい場所で・・・さっきの対向車の人とケンカでもして
車から降ろされてしまったのだろうか?
そんなことを考えたりもしたがなんか怖いのでそのまま通り過ぎることにした。
その女の子は車のヘッドライトに照らされてもこちらを振り向くでも立ち上がるでもなく
そのままの状態でしゃがみこんでいたので私も女の子に車が接触しないようめいっぱいハンドルを切ってその場を通り過ぎた。
通り過ぎてからバックミラーを覗き込んだがそこには真っ暗な闇が広がるばかりだったのでした。