燃える八幡平
 
(前編)
2002年 10月11日〜10月14日

さすらいの一人旅

 待ちに待った10月の連休。どこに行くかさんざん迷ったのだが、岩手-秋田県境にまたがる八幡平(はちまんたい)
で紅葉と温泉を楽しみに行くことにした。21時ごろ常磐道の谷和原インターから北をめざして出発する。
いつもの宿泊場所である宮城県の東北道三本木パーキングエリアまで400KM程の旅である。ちなみに、今回は
近所でケーキ屋の特売があるということで同行者は欠席である。常磐道から磐越道に入るがあいにくいわき三和IC〜
小野ICが事故で通行止めだったため、一般道での迂回で時間を食ってしまい。磐越道の三春パーキングエリアで宿泊
することにした。他には車が一台もなく大変静かなパーキングであった。

 
事故により一般道へ迂回       三春パーキングエリアで宿泊

一路盛岡へ

 翌朝、パーキングには数台の車がいる。それでもいたって静かだ
 もそもそと起きだして早速出発する。
東北道に入ると交通量はなかなか多い。いつもの旅行では夜中に通過してしまう区間なのだが今日は速度が
100kmを超えることがあまりない。盛岡についたのは12時ごろであった。盛岡インターそばの「ぴょんぴょん舎」
本店で盛岡名物の冷麺を食べたあと、いよいよ八幡平へ向かう。

 

高速道路通行止め乗継ぎ証明書    盛岡で見かけた薄紫プレサージュ
(出口で渡すと通行料が少し安くなります)


思い出の場所
 
 西根町から八幡平アスピーテラインを登ってゆくとやがてスノーシェルターが現れる。その中の学習院スノーシェルターを
抜ける寸前、外に出れる開口部があるのだがここを左折すると二本の煙突が現れる。松尾鉱山の鉱山住宅の廃墟群である。

   
 
スノーシェルターを抜けると・・・  忽然と現れる二本の煙突

                       
              鉱山住宅へ       生活学園へ

再び八幡平へ

 鉱山住宅を跡にして再び八幡平へと向かう。山道からさっきの鉱山住宅が見える。とりあえず時間が余ったので
アスピーテライン沿いに看板の出ていた「黒谷地」に行ってみることにする。熊笹の茂る木道を歩いていくと
熊笹の茂みの中から水音が聞こえてきた。「熊の泉」である。道路からは500M歩かなくてはいけないが、冷たくて
おいしい水が豊富に湧き出している。そこからさらに500M程歩くと黒谷地と呼ばれる湿原が現れる。

 
再び八幡平を目指す         松尾鉱山住宅と生活学園を望む

 
木道を歩く             さらに木道を歩く

 
熊笹の茂る湿地           名水?! 熊の泉

  
黒谷地の風景(小さな池が点在しています) 渋滞するアスピーテライン

 再び車に戻る。黒谷地から先は紅葉見物の車で相変わらず渋滞している。八幡平頂上(見返り峠)まで
3KM程の道を40分程かけて登る。頂上から先は車は順調に流れていた。なぜかこの日は秋田県側から
登ってくる車はまったく渋滞していなかった。

    
10月中旬以降は夜間通行止め   夏に入りに行った藤七温泉から湯煙が上がる
 
八幡平頂上付近                          頂上から先は快適に流れる

ふけの湯温泉

 
アスピーテラインは八幡平頂上から秋田県に入る。しばらく下っていくと谷間から盛んに蒸気が上がっている
ところがある。ふけの湯(蒸ノ湯)温泉である。道路わきの駐車場ではアイスクリームが売っている。アイスを
食べながら谷間をのぞくと湯気の中に露天風呂らしいものが見えた。なかなか雰囲気がよさそうなので立ち寄ってみることにした。

  
道路わきで売っていたアイスクリーム  大盛りアイス

 
ふけの湯温泉                            ふけの湯に向けて谷を降ります


まずは旅館の内湯へ入る。(今回は日帰り入浴で利用しました)湯船はそれほど印象に残るものではないが、
洗い場には大きな丸太をくりぬいた湯桶??があってそこからお湯を汲んで体を洗ったりするようになっている。
つづいて露天だが、女湯との境の塀が湯船を取り囲むように回り込んでいて、写真のようにあまり眺望がひらけない
感じであった。ただし、お湯は温かく、温泉自体にも清潔感がありなかなかいい感じである。
ただし、個人的な感想では八幡平の温泉群のなかでは個性的な玉川温泉、温泉のデパート後生掛(ごしょうかけ)
温泉には一歩譲る感じがした。温泉から上がり旅館のロビーでくつろいでいると外にも露天風呂があることが
わかったのでそちらにも入って帰ることにした。

  
ふけの湯温泉            旅館露天風呂

ふけの湯温泉の周辺は火山活動?!が活発でいたるところから蒸気がふきだしている。そんなところを
200m程歩くと露天風呂が現れる。板切れで囲まれた野趣あふれる露天風呂だ(男女別)早速様子を
伺うとなんと湯船はオヤジどもでいっぱいでどこにも入るところがなかった。あきらめて帰ろうとすると
その中の4,5人がちょうど湯船から出たので、何とか温泉に入ることができた。ちょうど日暮れ時なので
どんどん人が少なくなり、6畳間ほどの湯船には私を含め3人程になった。あたりは本当に静かで
蒸気の噴き出す音以外何も聞こえない。ふと見上げると空には月が冷たく光っていた。

 
ふけの湯 野外露天風呂                  夜のふけの湯

八幡平のコンビニ

 ふけの湯温泉をあとにして、さらにアスピーテラインを下る。今日の宿は八幡平頂上のパーキングと
決めていたのだが、八幡平にコンビニができたらしいという噂を聞いて、噂を確かめてみたくなったのだ。
暗い夜道を走ることしばし・・・忽然とコンビニは現れた。酒屋も併設している。秘境を駆け抜ける国道341号
の最秘境区間とも言えるアスピーテライン入口から、わずかに鹿角(かづの)方面に下ったところに「それ」はあった。
営業時間が24時間かどうかはわからなかったが、間違いなく日本で一番秘境にあるコンビニだろう。食料等を
買い込んで今夜のねぐらである八幡平頂上の駐車場に向けて出発した。八幡平頂上の駐車場にはすでに10台以上の
車がいた。助手席に後ろ向きに座り、頭を仰向けにダッシュボードの上にのせると空には満天の星が輝いていた。
明るい星だけでなく、ほの暗く輝く星まではっきり見える。流れ星が一筋流れていく。一人っきりでロマンチィック
な気分にひたりながら、八幡平の夜は更けていくのであった。

  
八幡平の冷蔵庫キャメルマート(コンビニ) こんな山の中にあります

早朝の八幡平

 
午前6時少し前。目を覚ますと空が明るくなり始めていた。もともと日の出を見る気はなかったのだが、
せっかくの機会なので見ていくことにした。雲海の中から太陽が顔を出してくるの様子ははなかなか壮観な
眺めである。気温は3
。山はもう冬であった。

 
雲海から顔をだした太陽            八幡平に朝が訪れる

八幡平頂上(見返り峠)の県境  

八幡平散策

 まだ時間もあるので、八幡平の頂上を散策することにする。往復4キロほどの道のりである。そもそも
アスピーテラインの名前の由来である「アスピーテ」とは火山の種類?!のことで、流動性の高い玄武岩質溶岩流が
うす〜くな流れ出してできる,緩やかな傾斜の火山である。八幡平は日本を代表する「アスピーテ」火山であり
頂上部分はだらだらとした緩やかな斜面が続いている。登山道というよりは遊歩道といった雰囲気である。
登山道を巡るといくつかの湖に出会えます。

 
八幡平登山道から南方向を見る          八幡沼(湖底には複数の火口があります)

 
八幡平頂上(森の中です)              八幡平頂上展望台より北方向(森の中です)

 

 
八幡平頂上(鳥海山が見えるのですが)      めがね沼(やはり火口湖。急な火口壁が特徴です)


鏡沼(火口湖


燃える八幡平(中編)に続く